皆さまは、山を数えるときに用いる単位をご存知でしょうか?
普段登山に慣れ親しんでいる方ならごく普通に使っているかもしれませんが、そう「座(ざ)」を使って山は数えられます。
一座(いちざ)、二座(にざ)といった感じですね。
さて、この数え方を知っていた方でも、ではどうして山は「座」と数えられるかについて考えたことがありますでしょうか?
今回は、山が「座」と呼ばれるようになった理由について考察していきます。
山をなぜ「座(ざ)」と数えるのか?
実は「座」という字は、「ざ」以外にも「くら」とも読むことができます。
「くら」というのは神様がお住まいになる場所を指しています。
日本は古くから自然信仰の国であり、自然のあらゆるものに神様が宿っているとされてきました。
そして大きな滝や、大きな岩といった見た目にも厳かなものには当然のごとく神様が宿るとされ、崇められてきたのです。
そして、大きな岩のことは「くら」とも呼ばれます。
また山の地名で「○○くら」というのを聞いたことないでしょうか?
例えば谷川岳の「一ノ倉(くら)沢」や、「乗鞍(くら)岳」というのがパッと考えられますね。
山の近くにいると忘れてしまいますが、山も岩と同じく大きな塊であり、昔の人は山のことも岩と同じく「くら」と呼んだのです。
「くら」という呼び方は「座」だけでなく「倉」や「鞍」にも変化していって今の山の呼称に至っているわけです。
そして山の数え方は座(くら)→座(ざ)という変遷をたどったのではという説があります。
ヒマラヤのことも「神々の御座」と言われるように、山は神様が宿る神聖な場所と思われてきたがゆえに、山のこと「座」で数えるようになったのです。
人はなぜ山を敬うのか?
人々が、山に神様が宿っている、と考えるようになったのはいつ頃なのかというと、それはかなり古くまでさかのぼるでしょう。
日本で最も古い神社の一つである大神(おおみわ)神社が創建されたのは、今から2千年以上前と推測されていますが、「神」という明確な概念はなくても、何かとてつもなく大きな存在の力がこの世にあると人々が感じ始めたのは、おそらく縄文時代初期の頃と思われます。
そしてその頃の人々の生活は山と密着したものでした。
山から流れてくる水を飲み水として使い、その流れの中にいる魚を捕まえて食料にしていました。
山にはドングリやクルミなどの豊富な木の実がありましたし、山に生息するイノシシや鹿といった動物は貴重な食糧でありました。
縄文時代の人にとって、山は生きていくために必要なものを与えてくれる存在であり、きっと山には神様がいて、神様が必要な物を与えれくれているに違いないと考えたはずです。
人々は山の恵みを与えてくれる神様に感謝しながら、そこで得た糧を大事にして生きていたのです。
おわりに
山を「座」と数える理由について考察していきましたが、いかがでしたでしょうか?
上記で述べた以外にも、神様が山に座っている姿を想像して「座」と呼ぶようになったとの考えもありますね。
いずれにしても古代の人々が山を敬っていたということは間違いないでしょうね!
参考文献
本日も拙いブログを読んで頂きありがとうございました!!!Have a nice run!