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日本郵政が楽天の株式を850億円減損!?経緯と会計処理について解説!

楽天、日本郵政と業務提携を発表。郵便局で携帯申込、出資受け通信網強化 - iPhone Mania

先日のニュースで、日本郵政が保有している楽天グループの株式に対して850億円の減損処理を行うことを発表されました。

www.bloomberg.co.jp

 

日本郵政と楽天は2021年に資本・業務提携を結んでおり、その際に取得した約1500億円の株式の半分以上の簿価を減損したことになります。

 

総額で850億円の減損ということで、一般人の感覚からするともう想像もつかない金額になっていますね。私のような弱小投資家は、持っている株式の株価が半分になったら相当絶望的な気持ちになって夜も眠れなくなってしまいますよ。

 

でも我々一般投資家は、株価が下がったから減損なんてことはしませんよね。証券会社のサイトを開いたら「あなたの保有する〇〇株は株価が著しく下がったため減損されました。」、なんていうメッセージは出てきませんよね。

 

この減損というのは企業が持っている株式の株価が著しく下落した場合に行われる会計処理のことです。

 

今回は、日本郵政と楽天グループの関係性と、減損に至った経緯、そして減損により日本郵政と楽天グループにどのような会計上の影響があるのかについて解説していきます!

 

 

 

日本郵政が楽天グループの株式を取得した経緯とは?

まずは日本郵政はどのような経緯で楽天グループの株式を取得していたのかでしょうか。

 

日本郵政と楽天グループは、2021年3月に資本・業務提携を結び、その際に日本郵政は楽天グループからの第三者割当増資にて、約1億3100万株、株価総額にして1500億円の株式を取得することになりました。

 

三者割当増資とは、企業が新たな資金を調達するための方法の一つです。通常の市場で売買される株式とは異なり、第三者割当増資では特定の第三者を対象に有償で新株を発行します。上場企業の場合は、経営再建や関係強化などを目的に行われます。

 

つまり楽天グループが日本郵政向けに発行した新株を購入することで、楽天グループは1500億円の資金を調達することができ、両社は資本関係を持つことで業務上の関係性を強化したということです。

 

この業務提携により、楽天モバイルのスマホを郵便局で売っていたりしていましたよね。あの場所で楽天モバイルスマホを買う人が本当にいたのかは謎ですが。

 

日本郵政の2021年3月期の有価証券報告書の、個別貸借対照表を確認すると、以下のように投資有価証券勘定が1500億円(150,000百万円)以上増加しているので、楽天グループの株式1500億円を取得したことがわかりますね。

 

一方で楽天グループの2021年12月期の第1四半期報告書の、連結財政状態計算書を確認すると、資本金と資本剰余金の合計が約1500億円増えているので、新株発行により資金を調達していることがわかりますね。

 

このように2021年3月に日本郵政が2021年3月に楽天グループの株式を1500億円取得したというのが今回の減損のニュースのスタートとなります。

 

 

 

なぜ日本郵政は楽天グループ株式を減損しないといけないのか?

それではなぜ、日本郵政は楽天グループの株式を減損しないといけないのでしょうか。

 

それは企業の会計基準により、企業が保有する株式の時価が著しく下落し、株価の回復の見込みがない場合は減損処理しなければいけないと定められているからです。

 

その基準は、『金融商品会計に関する実務指針』の第91項「有価証券の減損処理:時価のある有価証券の減損処理」において示されております。

https://jicpa.or.jp/specialized_field/publication/files/2-11-14-2-20160325.pdf

 

 

日本郵政が保有する楽天グループ株式はその他有価証券に分類されております。資本・業務提携による取得なので売買目的ではなく、持ち株比率も大きくないので子会社、関連会社株式には該当しないため、その他有価証券となりますね。

投資有価証券とは?保有目的で仕訳が変わるのか | クラウド会計ソフト マネーフォワード


では日本郵政が保有する楽天グループ株式の株価はどれほど下落したのでしょうか。

 

2021年3月取得時点:1,145円 ➡ 2023年6月末時点:501円△56.2%の下落

 

さきほどの基準に照らし合わせると、取得時と比べて時価が50%以上下落し、有価証券の時価が著しく下落したと認められるため、減損処理を行うこととなったのです。

 

 

 

楽天グループ株式を減損すると、日本郵政と楽天にどのような会計上の影響があるのか?

それではこの減損により、日本郵政と楽天にそれぞれどのような影響があるのでしょうか?

 

日本郵政

まずは日本郵政側から見ていきましょう。

 

日本郵政は1500億円を楽天に支払い、簿価1500億円分の株式を取得しました。

 

日本郵政のBSの動きは以下のようになります。現金の一部が投資有価証券に置き換わったという感じですね。

 

次は株式減損時の会計処理を見てみましょう。

日本郵政は楽天グループの株式を減損をしたことにより、投資有価証券評価損(特別損失)を計上し、投資有価証券の簿価を減額しております。



日本郵政の減損時のBSの動きは以下のようになります。減損をしたことにより投資有価証券が減少するとともに、評価損を計上したことで利益剰余金が圧縮されています。

 

そして減損時点では現金の変動はありませんね。あくまで保有していた株式を減額しただけです。これは将来的に下落後の株価で売却した際に認識する売却損を先行して計上していることになります。あまりに大きい株価下落の場合は損するリスクは先に認識しておこうということですね。

 

ちなみに今回の減損は「洗替法」で行われたということで、もし楽天グループの株価が回復した場合には、有価証券評価損が減少する可能性もあるとのことです。

 

楽天グループ

続いて楽天グループの会計処理を見ていきましょう。

新株を発行し、その新株を日本郵政が取得したことで1500億円の現金を調達することができました。株式の発行により得た資金は自己資本となるため、資本金と資本剰余金が増加しております。

株式発行時の楽天グループのBSの動きは以下の通りです。現金と資本金+資本剰余金がそれぞれ1500億円増加し、総資産が増加しております。

 

 

そして減損時においては、楽天グループ側では会計上の動きはありません。あくまで減損は投資した側(日本郵政)が負っている株価変動リスクを会計上認識する処理ですので、楽天側には会計上の影響はありません。

 

まあ楽天側としては会計上の影響がないとはいえ、このニュースが大きく取り上げられることによって投資家心理に悪影響が及ぼされ、さらなる株価の下落というリスクもありますけれどね。

 

 

 

おわりに

本記事では、日本郵政が保有している楽天グループ株式に対して行われた850億円の減損処理について詳しく取り上げましたがいかがでしたでしょうか。

 

楽天グループ株式の減損は、日本郵政の今後の経営戦略にも大きな影響を及ぼす可能性がありますし、日本郵政と楽天グループに対する投資家の姿勢も変わってくるものと思われます。

 

両社の今後の動向については引き続き注目していきたいですね!

 

 

 

本日も拙いブログを読んで頂きありがとうございました!!!Have a nice run!