SHIINBLOG

走り出した足が止まらない!

趣味とは、仕事に疲れた時の癒し、そして長い老後の最良の友。 いわば人生のオアシスである。(酒井正敬)

「光る君」が始まる前に『なんて素敵にジャパネスク』の魅力を伝えたい!

2024年の大河ドラマは、源氏物語の作者である紫式部の生涯を描いた「光る君」となりました。平安時代という日本人の和の心くすぐる時代が舞台ということで、その奥深い歴史と文化に魅了されるドラマになってくれることを期待しています。

 

しかし平安時代の貴族の文化というのは、現代日本を生きる私たちの価値観とは全く異なっており、すんなりと理解するのは難しいかもしれません。天皇を頂点とした冠位と官位による階級制一夫多妻制度文と短歌がコミュニケーションの中心となる執筆文化など、現代とは全く異なる価値観で平安時代の人々の生活は営まれていたのです。

 

もちろんドラマ内でも丁寧に説明が入るかと思いますが、平安時代の基礎知識を得るためにオススメの作品があります。それが『なんて素敵にジャパネスク』です!

 

「なんて素敵にジャパネスク」は、平安時代の貴族たちの生活をユーモアとサスペンス要素を盛り込みながら溌剌と描いた名作であり、この作品を読めば平安の時代背景を楽しみながら学ぶことができ、「光る君」をより深く理解できる間違いなしです。

 

私が今まで読んできた中で漫画の中で、好きな漫画ベスト3を挙げろと言われたら間違いなくこの作品は入れるほど大好きな作品なので、是非読んでほしいです!!

 

この記事では、「なんて素敵にジャパネスク」の概要と魅力について解説していきます。一緒に魅惑の平安時代ワールドに潜り込んでいきましょう!!

 

 

 

『なんて素敵にジャパネスク』とは

出版済みのシリーズと作者の紹介

『なんて素敵にジャパネスク』氷室冴子(ひむろさえこ)さんの執筆作品で、平安時代の宮廷貴族社会を舞台にした少女小説シリーズがスタートです。レーベルは少女向け小説を扱うコバルト文庫ですね。以下の表紙は漫画版です。

 

氷室冴子さんは、1980~1990年代にかけて、『クララ白書』『なんて素敵にジャパネスク』『海がきこえる』などの作品で一世を風靡し、小学生から高校生にかけての少女たちに絶大な人気を誇り、発売作品の累計売上は2000万部を超えるベストセラー作家です。

 

小説版は1984年に1巻が発売され、1991年に発売された10巻で完結しました。

 

それと合わせて1989年には、小説の内容を山内直実(やまうちなおみ)さんによってイラストがつけられて、白泉社の花とゆめコミックスから漫画版が発売されました。

 

漫画版は第1シリーズが11巻まで発売され、第2シリーズの人妻編が11巻まで発売されました。

 

小説版も好きなのですが、漫画版のほうが服装や建物の様子が視覚的に分かるので、より平安時代の文化への理解が早くなるかなと思います。あと漫画版のほうは小説版から話を取捨選択されていて純粋に読みやすいというのもありますね。

 

古い作品ですが、新装版や愛蔵版など再版もされており、中古でも手に入れることは容易だと思います。もちろんKindle版もありますよ!

 

物語の概要

『なんて素敵にジャパネスク』は先述した通り、平安時代の宮廷貴族社会を舞台にした作品で、いうなれば宮中ラブミステリーといった感じですね。恋愛要素とミステリー解決要素がうまく絡み合って物語が進んでいきます。

 

主人公は名門貴族・内大臣家のお転婆な16歳の娘である「瑠璃姫」です。基本的にはこの瑠璃姫の視点から物語が進んでいきます。

 

13,14歳が平均結婚年齢であった平安時代でありながら、瑠璃姫はとある事情から独身主義を貫いており、自身の結婚問題から様々なゴタゴタを引き起こし周囲を混乱させていきます。

 

そのゴタゴタをきっかけとして気づかぬうちに宮中全体、引いては帝まで関係する政治陰謀の大事件に首を突っ込んでいくことになるのですが、瑠璃姫のお姫様らしからぬ行動力と聡明な頭の回転により、誰も思いつかないような真実を読み当てて事件を解決に導いていくことになります。

 

独身主義を貫く瑠璃姫の恋愛模様にドキドキしてしまうのと、権謀術数に満ちた宮中内の事件を解決していく瑠璃姫のお姿が実に爽快で、一度読み始めたら手が止まらなくなること間違い無しな作品です!

 

 

 

『なんて素敵にジャパネスク』の魅力

主人公の「瑠璃姫」が魅力的!

やはり本作の最大の無力は、なんといっても主人公の「瑠璃姫」がとても魅力的なところでだと思います!!

瑠璃姫は内大臣のお姫様で、内大臣家といえば左大臣家・右大臣家に次ぐ官職であります。つまり瑠璃姫は超お嬢様ということですね。

 

深窓の姫として立派な淑女として育つはずでしたが、瑠璃姫は明朗活発で勇敢、頭の回転がとても速く、思い立ったら行動する性格であったため、奔放な言動で周囲の人間を悩ませてばかりいます。

 

そんな瑠璃姫も16歳となり、当時の貴族の姫君の結婚適齢期を過ぎていたのですが、なかなか結婚しようとしません。幼少期に出会った初恋の少年「吉野君(よしののきみ)」の面影が忘れられないのと、実母が亡くなってすぐに再婚した父親に幻滅し、結婚なんて一生しないと意気込んでいたのです。

 

それに焦った父親はとある貴族に瑠璃姫を夜這いさせて無理やり既成事実を作り結婚させてしまおうと画策します。酷い親ですね笑

 

そんなピンチを助けてくれたのは筒井筒(幼なじみ)の年下男子である高彬(たかあきら)でした。そして瑠璃姫と高彬は幼いころの約束も思い出して婚約する流れとなったのでした。

 

2人は結婚してめでたし、めでたし...といくわけもなく、この高彬との結婚を前にして瑠璃姫は様々な事件に巻き込まれていったり、自分から首を突っ込んでいったりで、なかなか婚の段取りは前に進んでいきません

 

瑠璃姫宛てに時の天下人から恋文が届いてしまったり、初恋の少年と思わぬ形で再開してしまったり、心が揺れ動く瑠璃姫が、無事に高彬との結婚までこぎつけることができるのかを見守るのが楽しいですね!

 

やはり本作を読んでいると瑠璃姫が愛おしくて大好きになって応援したくなっちゃうんですよ!!山内さんの描く瑠璃姫が本当に感情豊かで、原作小説では美人設定ではないのですが、漫画版だとめっちゃ可愛く見えるんですよね。

 

そして性格も自由奔放ではありつつ自分勝手ではなくて思いやりと仁義に満ちており、情にもろいところから思わず事態が悪化してしまうこともあるのですが、そこも共感できるからこそ瑠璃姫を応援したくなっちゃうのです。

 

また、裁縫、琴など当時の女性の必須ともいえる教養科目が大の苦手だけど、和歌は人並み以上に機知に富んでいる点など、お姫様だけど完璧じゃないところも親しみやすくていいですね。

 

特に和歌は平安時代のコミュニケーションツールの一つであり、作中でも瑠璃姫の和歌の腕前がいかんなく発揮される場面が随所であります。お転婆だけど文化人というこのギャップもたまらないですね!

 

平安時代の文化・生活風俗が知れて面白い!

平安時代といえば、独特な文化や生活風俗が特徴で、なかなか現代を生きる我々からだと理解しづらい部分もありますよね。

 

古典の授業で古文を勉強した際も、文章自体が難しいうえに描かれている内容が想像できずに苦労した人も多いのではないでしょうか?

 

ただ私は小学生の頃に「なんて素敵にジャパネスク」を読んでいたので、古文はめっちゃスルスルと頭の中に入ってきていましたね笑。本当に読んでいてよかったと思います。

 

独特の文化でいうと、和歌や文によるコミュニケーションですね。電話もメールも無い時代ですから、意思疎通は対面で会うか手紙しかないわけで、そうなってくると手紙の文章が洗練されていくのは間違いないですよね。

 

特に5・7・5・7・7の和歌を技巧的かつ情熱的に練り上げて自分の思いを相手に伝えるという文章力はあの時代の人の特殊能力だと思います。

 

作中でも瑠璃姫や他の登場人物が、この和歌を通じて暗喩や比喩を織り交ぜがらコミュニケーションをとっていく姿が幾度となく描かれておりますね。

 

また貴族社会の階級制度についても学べますね。瑠璃姫は内大臣という宮中トップ3の貴族のお姫様ということで、それなりの身分の方から多くの縁談の話が来ていたりします。まあ片っ端から断っていたのですが。

 

貴族社会は天皇(帝)をトップとした階級社会であり、みな少しでも官位・冠位を上げて宮中での地位を上げることに躍起になっています。幼馴染の高彬の階級も左衛門佐(さえもんのすけ)から徐々に出世していきますね。

 

また当時は一夫多妻制度が普通であり、瑠璃姫は自分だけを愛してもらえないのは嫌だという理由もあって生涯独身を貫こうとしていました。

 

また一夫多妻制ということで腹違いの兄弟という存在が普通に登場してきます。血のつながっている親族ということで仲良くなることもあるとは思いますが、そんなきれいごとだけではなく、血がつながっているゆえの愛憎や醜い権力闘争へと発展していく展開が多いですね。

 

また血縁関係はないが、同じ女性(乳母)の乳を飲んで育った者同士を乳兄弟(ちきょうだい)と呼び、これがけっこう精神的に深い関係だったりしますね。

 

また知らないと一瞬なんだと思ってしまうのが女房という言葉でしょう。現代でおける女房は妻を指す言葉で使われますが、平安時代の貴族に仕える女官の役職のことを指します。宮中に部屋をもらってお姫様の近くに住み、身の回りのお世話をしました。分かりやすく言うとメイドさんみたいな感じですね。

 

ただ決して身分の低い使用人というわけではなく、女房は貴族に仕えて働く女性の中で最も身分の高い役職でした。主に下流・中流貴族の娘が、より高い階級の貴族に女房として仕えていました。紫式部も一条天皇の中宮の女房でしたしね。

 

作中では瑠璃姫には小萩という女房がいて、日常パートにおいて瑠璃姫と一緒によく登場しますね。瑠璃姫より2歳上で、優しくも厳しいしっかりもののお姉さんといった感じです。

 

今紹介したのは平安時代の特徴的な文化の一部です。作中にはもっと様々な貴族文化が登場してきますので、是非作品を読んでみて体感してみてほしいですね。

 

複雑な人間関係から起因するミステリーが奥深い!

先ほど紹介したように平安時代は厳しい階級制度であり、また一夫多妻制や乳兄弟など様々な縁戚関係が生じることから、権力争いや後継者争いが絶えません。

 

宮中には常に誰かを権力の座から蹴落としてやろうという権謀術数が張り巡らされています。

 

またこの時代は武士が台頭する直前であるため、武力による争いよりも政治的闘争がメインととなります。

 

自分が出世するために、もしくは自分が後見している人を出世させるため、様々な人があれやこれやと策を弄しているわけで、瑠璃姫はその策略の一端に思わず触れてしまうことで事件に巻き込まれていくことになります。

 

瑠璃姫は持ち前の行動力と広い人脈を通じて事件についての独自の調査を進め、思慮深い心と想像力から事件の裏にいる人々の愛憎を読み取り、やがて事件の真相へとたどり着いていきます。

 

平安時代のお姫様が陰謀渦巻く宮中において探偵のようなことをしているという、この構図が物語を面白くしていますね。

 

そして事件の真相はいつも、瑠璃姫の当初の推理よりも重大な真実が隠されており、読んでいる私も瑠璃姫と同様にハッとさせられる展開となっています。

 

純粋なミステリーものとしても十分に楽しめるのがこの作品の魅力ですね!

 

 

 

おわりに

今回は『なんて素敵にジャパネスク』の概要と魅力について紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?

 

『なんて素敵にジャパネスク』を通じて平安時代の風俗や文化に触れることで、紫式部が源氏物語という作品を描いた背景が見えてくるかもしれませんね。

 

ぜひ、この素晴らしい作品を読んで、大河ドラマ「光る君」の放送を待ちながら、平安時代の魅力に浸ってくれたら嬉しいです!!

 

 

 

本日も拙いブログを読んで頂きありがとうございました!!!Have a nice run!