前回の記事では、台湾高雄富邦マラソンにエントリーしたお話と、台湾登山の挑戦を決意したことを表明しました。
今回は台湾登山に焦点を当てていきたいと思います。
台湾は地理的な特徴が豊かで、3000m峰が250以上もある山岳国家ですが、逆にこれだけあるとどの山を登っていいのか悩んでしまいますね。
また台湾登山は日本とは違って許可申請が必要な山域があり、現地まで行けばあとは体力勝負というわけにもいかなそうです。
ということで今回は、台湾の地理的特徴を紹介しつつ、台湾にはどんな山があるのか、そして台湾登山に必要な許可申請について解説していきます。
台湾の地理的特徴
まずは台湾の地理的特徴についてみていきましょう。
台湾国土の概要
台湾の面積は36,200 km²で、これは九州とほぼ同じ大きさです。南北が394km、東西が144kmという縦長な形状であることも九州と似ております。
台湾の中央を北回帰線が横断しており、台北などの北部は亜熱帯気候、高雄などの南部は熱帯モンスーン気候となります。
日本と同じく環太平洋火山帯に属し、温泉も豊富です。
ユーラシアプレートとフィリピン海プレートが交差する地点に位置しており、地層の隆起活動により山脈が形成されました。
南北に台湾を縦断している中央山脈を中心にして山脈が形成されていき、その東西両端に比較的緩やかな丘陵地、台地、平野が分布しております。
山岳国家としての台湾
台湾は日本と同じく国土面積のおよそ7割が山地、丘陵地で占められている山岳国家です。現地では3000m以上の山を「高山」、1000m以上の山を「中級山」、1000m未満の山を「郊山」と呼び区別しているようです。
3000m以上の山:「高山」
1000m以上の山:「中級山」
1000m未満の山:「郊山」
また前回の記事でも解説したように、台湾には3000m以上の高山が250座以上存在しております。総数については諸説あるようです。
台湾は南北に5つの山脈が走っております。
①中央山脈:台湾を南北に貫く台湾最長の山脈。最高峰は秀姑巒山(3,825m)
②雪山山脈:中央山脈の西北部に位置し、西南方向に伸びる山脈。最高峰は雪山(3,886m)
③玉山山脈:中央山脈の西側に位置し、高雄市まで伸びる山脈。台湾最高峰である玉山(3,952m)を有する。
④阿里山山脈:玉山山脈の西側に位置し、3000m峰が無い比較的緩やかな山脈。最高は大塔山(2,663m)
⑤海岸山脈:東部の海岸沿いに伸びる山脈。北から南にかけて急峻な地勢に変化している。最高峰は港山(1,680m)
https://ameblo.jp/sinoradonnyonn/entry-12559654745.html
日本の最高峰である富士山を超える高峰が数多くある台湾ですが、緯度は低いため、日本の同じような標高の山よりも気象条件は穏やかであるといえます。標高3000m以上でも樹林帯が広がる山域もある感じです。
台湾百岳
日本に日本百名山があるように、台湾にも台湾百岳という百選があります。
日本百名山に影響を受けて、1971年に台湾の建国100年を祝うのと合わせて百選の選定が計画されました。
登山家の林文安、蔡景璋、邢天正、丁同三、簡進清らによって協議され、標高3000m以上の山から台湾を代表する百山が選ばれました。ただし時代が進んで再測定されてわずかに3000mを下回っている山もそのまま百選に残っていたりします。
台湾の五大山脈のうち、中央山脈からは69座、雪山山脈から20座、玉山山脈から11座が選定されています。
全てが3000m級の山であるため、そのすべてを制覇することは日本百名山踏破よりも遥かに難易度が高く、そのため百岳の中で美しさや独自性に重きを置いて選定された「五岳」、「三尖」、「一奇」、「十峻」、「四秀」といったくくりの山を目標とする登山者も多いようです。
五岳
「五岳」とは、台湾の百岳の中でも特に雄大な5つの山を指しており、台湾の登山家の目標となっております。
現在の「五岳」は台北市山岳会の「五嶽三尖促進会」により選定され、「玉山」、「雪山」、「秀姑巒山」、「南湖大山」、「北大武山」が選ばれております。
玉山(3,952m)
玉山(ぎょくざん)は玉山山脈の主峰にして、台湾で最も標高が高い山です。その標高は3,952mに達します。日本統治時代は新高山と呼ばれていました。「ニイタカヤマノボレ 」のやつですね。
玉山を中心とした約10万haの範囲が玉山国家公園に指定されています。
雪山(3.886m)
雪山(せつざん)は雪山山脈の主峰にして、台湾で2番目に高い3,886mの標高を有します。日本統治時代は新高山(玉山)の次に高い山として次高山と呼ばれていました。
秀姑巒山(3,805m)
秀姑巒山(しゅうこらんざん)は中央山脈の最高峰で、台湾で3番目に高い3,829mの標高を有します。
中央山脈の深奥部に位置しアクセスが困難であるため、台湾五岳の中で最も難易度が高いと言われています。
南湖大山(3742m)
南湖大山(なんこだいさん)は中央山脈の北部に位置する山で、台湾で5番目に高い3,742mの標高を有します。
その美しい山容から「帝王の山」とも呼ばれています。
北大武山(3092m)
北大武山(ほくだいぶさん)は中央山脈の南部に位置し、3,092mの標高を有します。
その他の台湾の山のくくり
百岳や五岳以外にも台湾には山のくくりが多くあります。
三尖
「尖山」という名前の付いた3山で、急峻で尖った山容をした高山が特徴的です。
・中央尖山(ちゅうおうせんざん)(3,705m):中央山脈の第4位の高峰。「寶島第一尖」とも称される。
・大覇尖山(たいはせんざん)(3,492m):雪山山脈の北端に位置する。登頂は法律で禁止されている。
・達芬尖山(たつふんせんざん)(3,208m):中央山脈の主稜線に位置する。
一奇
「一怪」とも呼ばれる、特徴的な山容を有した山のくくりであり、奇萊北峰(きらいほくほう)(3,607m)のみがノミネートされている。台湾で最も登山事故が多発する場所であり、「黑色奇萊」とも呼ばれている。
十峻
「五岳三尖」以外で、断崖絶壁を有し峻厳な10座を「十峻」と呼んでいる。
・玉山東峰(ぎょくざんとうほう)(3,869m):玉山主峰の東側に位置し、「天壘峰」と称される。
・玉山南峰(ぎょくざんなんぽう)(3,844m):玉山主峰の南側に位置し、「天龍峰」と称される。
・馬博拉斯山(ばはくらしさん)(3,785m):秀姑巒山の北隣に位置し、台湾第4位の標高を有する。
・関山(かんざん)(3,668m):ピラミッド似た山容が特徴で、「南臺首岳」とも称される。
・奇萊北峰(きらいほくほう)(3,607m):三角錐のような形をしており、「一奇」にも選ばれている。
・大剣山(だいけんざん)(3,594m):雪山主峰南西部に位置し、威風堂々とした山容をしている。
・品田山(ひんでんさん)(3,524m):分水嶺で、淡水河と大甲渓の源流がある。
・無明山(むめいさん)(3,449m):中央山脈に位置し、南北に崖地形が形成されている。
・能高南峰(のうこうなんぽう)(3,349m):中央山脈に位置し、威圧的な山容を有する。
・新康山(しんこうざん)(3,331m):尖った山容は「東台一覇」と称される。
四秀
「武陵四秀」「武陵四峰」とも呼ばれている4つの秀麗な山のくくりです。
・品田山(ひんでんさん)(3,524m):分水嶺で、淡水河と大甲渓の源流がある。
・池有山(ちゆうざん)(3,303):雪山山脈に位置し、山名は「池の多い」を意味している。
・桃山(とうざん)(3,325m):山頂が桃の尖った形に似ていることからこの名が付いたといわれている。
・喀拉業山(かくらぎょうざん)(3,133m):雪山山脈に位置する
八秀
「八秀」は山容が秀麗で、斜度が緩やかな8座です。
・玉山北峰(ぎょくざんほくほう)(3,858m)
・向陽山(こうようざん)(3,603m)
・東巒大山(とうらんだいさん)(3,468m)
・志佳陽大山(しかようだいさん)(3,345m)
・桃山(とうざん)(3,325m)
・郡大山(ぐんだいさん)(3,278m)
・鈴鳴山(れいめいさん)(3,272m)
・閂山(さんざん)(3,168m)
十崇
「十崇」は山体や起伏が大きく、頂上が広々とした10座です。
・南湖北山(なんこほくさん)(3,536m)
・大雪山(だいせつざん)(3,530m)
・三叉山(さんさざん)(3,496m)
・東郡大山(とうぐんだいさん)(3,619m)
・馬西山(ばせいざん)(3,443m)
・合歓山北峰(ごうかんざんほくほう)(3,442m)
・奇萊南峰(きらいなんぽう)(3,358m)
・卑南主山(ひなんしゅざん)(3,295m)
・太魯閣大山(ひなんしゅざん)(3,283m)
・内嶺爾山(ないれいじさん)(3,275m)
この他にも「三高」、「四辣」、「三星」などたくさんのくくりがあります。
必要な許可申請
台湾では、原則として標高3000m以上の「高山」に登るためには、山を管轄する公的機関に登山許可の申請が必要となります。
3000m以上の高山の許可申請には二種類あり、両方の申請が認められる必要があります。
①入園許可証:自然保護エリアに入るためのもので、国家公園に申請
②入山許可証(甲種):エリア内の山に登るためのもので、管轄警察署に申請
また1000m以上の山に入山する際には「乙種」の入山許可が必要となるようです。
3000m以上の山の入山許可証である「甲種」は厳密な申請手続きが必要ですが、「乙種」のほうは事前の申請も不要で、尋ねられた場合にパスポートを提示すればよいようです。
今回の台湾旅行で「甲種」が必要な高山に登るか、「乙種」で済む低山にするかは要検討ですね。「甲種」のほうはけっこう手続きが面倒みたいなので、初台湾登山では避けたほうがいいかもと思っています。
おわりに
今回は、台湾の地理的特徴を紹介しつつ、台湾にはどんな山があるのか、そして台湾登山に必要な許可申請について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
台湾には日本には特徴をもった名山が数多く存在しており、台湾登山に挑戦するのがとても楽しみになってきました!
その一方で許可申請を取るのはとてもハードルが高そうです。今回はツアーではなく個人旅行で行きたいので、ツアー会社に申請代行を依頼することもでできないので、もしかしたら許可が不要な低山の挑戦になるかもです。
いずれにせよ絶対に登山はしたいと思っているので、進展がありましたら随時報告しますね!楽しみにお待ちください!
本日も拙いブログを読んで頂きありがとうございました!!!Have a nice run!