皆様は、静岡県伊豆市と賀茂郡南伊豆町の境に「天城山」に登ったことはあるでしょうか?
「天城越え」という言葉のほうで有名かもしれませんね。
この天城山の主峰は「万三郎岳(ばんさぶろうだけ)」、「万二郎岳(ばんじろうだけ)」という少し変わった名前をしています。
実はこの名前は、この山に住んでいるという天狗の兄弟の名前にちなんでいるというのです。
今回は天城山周辺に伝わる天狗兄弟の伝承について紹介します。
天城山とは
天城山 は静岡県の伊豆半島中央部の東西に広がる山で、天城連山や天城山脈と称されることもある日本百名山の一つです。
伊豆半島最高峰の万三郎岳(1,406m)と万二郎岳(1,299m)の主峰を有しています。
別名で甘木山、天木山、尼木山とも書かれます。
甘木とはヤマアジサイとその変種のアマチャの一首のことで、「あまぎ山」は甘茶を作るための「アマギアマチャ」をこの地域で多く生産していたことから名づけられたという説があります。
また漢方薬の名前からきた説、アイヌ語から来た説、「高くそびえる天の城」という意味で天城とつけられた説など様々な由来が提唱されています。
天城山に伝わる「天狗兄弟」の伝説
ここからは天城山の主峰の「万三郎岳」と「万二郎岳」という名前のルーツとなった天狗伝説について紹介していきます。
この山には昔、万三郎坊と万二郎坊という名前の怪人(天狗)の兄弟が住んでいたそうです。
標高の高い万三郎岳に住む万三郎坊が兄で、低い方の万二郎岳に住む万二郎坊が弟でした。
この兄弟はとても仲が良く、山が雲に覆われて雨が降り出す日などには「万三郎さま兄弟は、さぞかし鬱陶しいだろう」とか、よく晴れた日には「兄弟で水浴びか相撲でも取ってるだろう」とか話題にされていたといいます。
この兄弟がよく水浴びをするのが、万三郎岳と天城峠のちょうど間にある「八丁の池」で、木こりや炭焼きが兄弟の姿をよく見かけたという話も残っているそうです。
また兄弟が相撲を取っていたとされる場所が、万二郎岳にある 「天狗の土俵場」というところで、そこだけ木が生えておらず、丸く落ち葉が踏みつけられたような平地になっています。
さらに西伊豆町の「祢宜(ねぎ)ノ畑」と呼ばれると場所には、表面が平らになった巨石が並んでおり、石の表面には黒と白の斑点がまるで碁石を並べたかのように点々と浮き出しているとのことで、天狗の碁盤石と呼ばれています。
また河津町の河津七滝の大蛇を退治したのはこの天狗兄弟との言い伝えがあったり、伊東市の仏現寺には、天狗兄弟が書いたとされる長さ3メートルの「天狗の詫び証文」が宝物として納められているとのことです。
このように万三郎と万二郎の天狗兄弟は、天城山周辺の地域で数多くの伝承が残っているのです。
おわりに
いかがでしたでしょうか。
天城山の主峰の万三郎岳と万二郎岳という不思議な名前には、こんなにもユニークな伝承が残る天狗兄弟が関係していたのです。
天城山に登るときは、この天狗兄弟の伝承に想いを馳せてみてはいかかでしょうか!
参考書籍
本日も拙いブログを読んで頂きありがとうございました!!!Have a nice run!