※この記事は、2020年5月11日に更新しました。
『ウルトラマラソンに興味がある』
『ウルトラマラソンを完走する自信がない』
『ウルトラマラソンを完走するためにどんな準備をすればいいか知りたい』
この記事は、そんな考えを持っている人へ向けて書いています。
はじめまして。
長距離レースの魅力にとりつかれてしまいました、ブログ主のみつおです。
みなさんは『ウルトラマラソン』をご存知ですか?
ウルトラマラソンとは、『42.195km以上の距離を走るマラソン』のことで、主な種目は100kmマラソンです。
ところでみなさんはウルトラマラソンに対して、もしくはウルトラを走る人に対してどんなイメージを持っているでしょうか?
・過酷
・苦行
・超人
・変態
・ドM
・アホ
みたいなイメージを持っている人もいるのではないでしょうか?
かくいう私自身もウルトラを実際に走る前は上のような印象を抱いておりました。
「42.195kmでもあれだけ大変なのに100kmなんて走り切れるわけがない!!」と。
しかし2018年に『飛騨高山ウルトラマラソン』にてウルトラマラソンデビューをしてみて無事に完走することができたことにより、ウルトラマラソンに対しての考え方が大きく変わりました。
そして一つの考えに至ったのです。
それはウルトラは『きちんとした準備をすれば完走できる』競技だということです。
もちろん100kmを走るには基礎体力は必要です。
最低でもフルマラソンをサブ4前後で完走できる走力は要求されるかと思います。
ただそれと合わせて『事前の準備をどこましているかが、完走できるか否かを左右する大きな要素』だということを思い知らされました。
ということで今回は、ウルトラマラソン完走のために必要な準備と当日のレースプランにいて解説していきたいと思います!!
『ウルトラマラソン』と『フルマラソン』は根本的に違う競技だ!!
そもそも「ウルトラマラソンはフルマラソンの延長」と考えている人がいるかもしれませんが、その考えは間違っていると思います。
ウルトラとフルは「全く違う別競技だ」と考えた方がいいと思っています。
「ウルトラとフルの違い」を、「ハーフとフルの違い」と同じくらいと考えてはいけません。
私の感覚的には「5,000m走とフルマラソン」くらいにかけ離れた競技だと思っています。
求められる能力と、レースで発揮すべきパフォーマンスが全然違うのです。
では「ウルトラ」と「フル」を隔てる3つの大きな要素見てみましょう。
ちなみにウルトラマラソンは100kmのレースが一般的かつ人気が高いので、今回はウルトラ=100kmという前提で話を進めていきますね。
①走っている時間が違う
100kmのレースですので、単純計算をするとフルマラソンの2.36倍の距離を走ることになります。
その分走っている時間も当然ですが長くなります。
フルマラソンの制限時間が6時間前後が一般的であるのに対し、ウルトラは制限時間が14時間というのが一般的です。
14時間の制限時間いっぱいで走るとなると、朝のまだ暗いうちから、夕方の日が沈んだ後まで走ることになります。飛騨高山ウルトラマラソンの時は朝の5:00スタート、夜の19:00がリミットでした。
42.195km地点では、あと57.805kmを走る体力と時間を残しておかなければいけないのです。
42.195地点で力尽きてもいいフルマラソンとはもちろん根本的にレースプランが変わってきます。
②走るペースが違う
仮にウルトラを制限時間いっぱいの14時間で走るとした場合、ペースは8:24/kmとなります。
ただ実際には休憩や補給の時間を考慮すると、7:00/kmが完走ギリギリのペースとなります。
サブ4前後の5:40/kmのペースで順行できるランナーにとって、7:00/kmは早歩きに近く感じるペースだと思います。
完走を目標とするなら、このくらいのペースでじゅうぶんなんです。
つまりウルトラ完走に求められるのは、フルマラソンに求められる「スピード持久力」ではなく、「ゆっくり走り続けられる能力」なのです。
息を切らすなんてもってのほか、いかに体力のロスを抑えて走り続けられるかが大事です!
③補給と休憩の回数が違う
マラソンにおいてエイドでの補給は必要不可欠であります。
ウルトラはペースはゆっくりですが、長時間にわたる競技ゆえ相当のエネルギーを消費します。ウルトラ100kmの消費カロリーは約7,000kcalです!
成人男性が3日間で消費するカロリーを一つのレースで消費するのです。
もちろん消費した分のカロリーはレース中に摂取して補給をしなければいけません。
フルマラソンでも軽食で補給はすると思いますが、ウルトラはある程度ガッツリ食べないと消費した分のカロリー補給が追いつきません。
食べながら走る、走りながら食べるという感じになるので、胃腸の強さも求められてきます。
またトップランナーを除けば、サブ4レベルのランナーがフルマラソンのように休憩無しで完走することはほぼ不可能です。
ペースがゆっくりなので心肺的にはキツくはないですが、足の体力がまずもちません。
数kmおきにあるエイドステーションで都度必要な分だけ休憩し身体を回復させる必要があります。
つまりウルトラは「走る」⇒「食べる」⇒「休む」の繰り返しなんです。
飛騨高山ウルトラは24か所のエイドステーションを通過したので、「走る」⇒「食べる」⇒「休む」を24回繰り返したことになります。
フルマラソンの「走る」⇒「走る」⇒「ちょっと食べる」のサイクルとは全く異なるので、その心構えでレースにのぞまないといけません。
ウルトラマラソンを完走できるかは事前準備で決まる!!
以上で見てきたように、ウルトラマラソンはフルマラソンと根本的に違う競技です。
フルのように練習量と気合根性でなんとかならないこともあります。
完走のためにはしっかりと事前の準備をするのと、綿密なレースプランを練る必要があります。
ということでやっと冒頭のテーマに入りますが、『ウルトラマラソンに求められる事前準備・レースプラン・攻略法』について紹介していきたいと思います!
事前にコース特性を把握して、区間ごとの走行ペースを事前に設定する!!
ウルトラマラソンのような100kmを超える長距離レースは、アップダウンの多い難コースが多々あります。
「なんで距離がそもそも長いのにアップダウンの厳しいコース設定にするんだろう...運営がドSなのか?」
と最初は思っていましたが、冷静に考えると『100kmも平坦な道は日本にはあまり存在しない』ということに気づきました。
周回コースや往復コースならアップダウン少なめのコースを設定することもできるかと思いますが、単調なコースになってしまうとランナーからの人気も得られませんからね。
ということでウルトラマラソンが難コースになってしまうのは仕方ないのです。
ただフルマラソンと違うのは、そのアップダウンの長さがフルとはケタが違うことです。
これは飛騨高山ウルトラマラソンの高低図です。
20km地点から40km地点まで約20kmの上り区間があります。
そのあとは約20kmの下り区間です。この区間を合計するだけででもうフルマラソンが終わってしまいますね。。
これだけアップダウンが多いコースでは、最初から最後までイーブンペースで走ることはほぼ不可能です!!
20kmの上りでも平地と同じペースで走って体力を使い果たしてしまっては、完走も難しくなります。
コースは事前に確認ができるので、「この上り区間ではペースを落として歩くくらいでいい。
この下り区間では逆にペースを少し上げる」など事前に区間ごとのペースを想定しておくとレース中に迷わず走れます。
またフルマラソンでは、レース後半にペースを上げるネガティブスプリットが有効と言われていますが、ウルトラマラソンでは後半にペースを上げられる人はほとんどいないと思いますので、必然的にポジティブスプリット前提でペース設定をしたほうがいいでしょう。
100kmの長丁場なので、ペースも柔軟に変更しメリハリのあるレースをすることが大事です。
エイドステーションでの休憩時間も計算してレースプランを練る!!
区間ごとの走行ペースを事前に設定しておくことが大事なのですが、それと合わせて大事なのが「エイドステーションでの休憩時間」もレースプランに盛り込んでおくことです!
なぜなら先ほども述べたように、ウルトラマラソンとは「走る」⇒「食べる」⇒「休む」の繰り返しであり、走るのと同じくらい「食べる」「休む」が大事なんです。
しかもウルトラマラソンでは休憩所が20カ所を超えてきます。1か所1分でも20分かかるのです。実際はそれ以上休むので1時間近くは休憩に費やしていることになります。
当然レースプランにもその時間をとっておかないといけません。
ということで以下の表が私は飛騨高山ウルトラマラソンの時に実際に事前に策定して、当日に使っていたレースプラン表です。
14時間の制限時間に対して、13時間程度でのゴールを目指してペースを設定しました。
0~20kmの比較的平坦な区間:6:30/km
20~40kmの上り坂区間:7:00/km
40~60kmの下り坂区間:6:30/km
60~70kmの千光寺の急坂:12:00/km
70~100kmのなだらかなアップダウン:8:00/km
上のような感じでざっくりと区間を分けて、それに応じた区間ペースを設定してゴールする時間を計算しました。
基本的には上り坂は遅め、下り坂は早め、そして終盤になるにつれて少しずつペースを下げていくイメージです。
全体で見れば前半でタイムを稼ぐポジティブスプリットで組んでいます。
また関門での休憩時間を5分、その他のエイドステーションでの休憩時間を1分に設定してあらかじめレースプランに組み込んでおきました。
ただ実際にはほぼすべてのエイドステーションで5分近く、時には10分以上休んでいたので次回以降のウルトラマラソンではもっと休憩時間を多めに想定しておこうかと思います。
長距離レースでは「このペースで走っていて制限時間までに完走できるのか?今自分は適正ペースで走っているのか?」と不安を感じた時に、どっとメンタル的に辛くなります。メンタルがやられるとそれは走りにも影響してきます。
しかし事前にペースを設定しておき、その通りに遂行していけば自信をもって走ることができますし、想定ペースに合わせて実際のペースを上げたり下げたりなどの調整ができるようになります。
ペースを設定しておかないと延々とやみくもに走り続けなければいけません。100kmそれを続けるのは辛いですよ。
レースに集中するために事前にレースプランを練っておくことをオススメします。
※ペース表は以下の記事で紹介した方法でマラソン中も携帯していました。登山地図ではないですが、くしゃくしゃにせずに持ち運ぶという点では同じです。
補給計画をたてて体力切れを防ぐ!!
100kmもの距離を走るウルトラマラソンは特にレース中の補給が大切になってきます。
エイドステーションでの補給もありますが、それ以外にも自分で用意しておくことをおススメします。
私はエナジージェルを持参して10kmおきに計9回補給していました。
エイドステーションの軽食ももちろんパワーになりますが、アスリートの為に開発されたエナジージェルは摂取したらすぐにダイレクトにパワーに変換されます。
飲んだ直後は言い過ぎかもしれませんが、それくらいのインパクトはあります。
※飛騨高山には一番左のShotzを、合計10本持っていきました。人によって味の好みがあるので、いろいろ飲み比べしてみるのもいいかもしれませんね。
またスティック入りの顆粒タイプのアミノ酸も持っていき、レース前に1本、50km地点で1本、レース後に1本の計3本摂取していました。
これは主に筋肉疲労対策です。即効性はありませんが、長丁場のレースにおいて筋肉疲労の軽減および筋肉痛の予防の為に飲んでおきました。
※これらのジェルやアミノ酸はマルチポケットパンツを履いて、ポケットに詰め込んでおけば、落ちることもなくそこまで重みを感じることもないのでオススメですよ!
補給しすぎてし過ぎるということはウルトラマラソンにおいては無いと思っているので、自分が考えている以上に補給物を用意しておきましょう!
身体のトラブルを想定し、対策を考えておく!!
ただ100kmのレースになると、ほぼ間違いなく身体のどこかにトラブルが発生します。
私の場合は50kmを過ぎたころから膝が痛くなりました。このような時に慌てないように対策を考えておくことが大事です。
まずはレース中に痛みが発生した際の効果的なストレッチを頭に入れておきましょう。知っているのと知らないのでは回復具合も違いますよ。
また痛み止めは持ってい行きましょう。『ロキソニン』はランナーの強い味方です。飲み過ぎは胃を痛めてしまうので、1レースに1粒と決めていますが、ロキソニンを飲むとかなり痛みが軽減されます。
走れないほどの痛みがあるときは、無理せず棄権することも必要ですが、我慢できる程度の痛みの時は思い切って痛み止めを飲んだほうがレースにも集中できますし、結果早くゴールできて、レース後の影響も少なくなるかと思います。
また長距離レースでは、「スタート地点で預けた荷物をレースの途中のエイドステーションで受け取れる」システムがあります。
飛騨高山ウルトラマラソンの時は57km地点で荷物を受け取れたので、私はこの預け荷物に湿布・コールドスプレー・ワセリンなどを入れておき、57km地点でそれらを使って体の回復に努めました。
預け荷物に着替えの服などを入れておき、体の冷えを防ぐのも有効な手ですね。
このように「トラブルは絶対に起こる」という想定のもとで、対応策を準備しておけばいざその場面になった時に慌てることなく対処することができます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?私は以上のことを実践して飛騨高山ウルトラマラソンを完走しました。
ほぼほぼレースプラン通りのタイムでゴールできたので大満足のレースとなりました!!
完走したことはもちろんですが、自分のプラン通りにレースを運べたことが一番うれしかったですね。
ウルトラマラソンは、決して超人だけが完走できるレースではありません。
練習も含めてしかるべき準備をしてきた人だけが完走できるレースです。
この記事を読んで「私でもウルトラマラソンを完走できるかも...」と少しでも思ってもらえたら嬉しいです!!
是非挑戦しましょう!!見たことない世界があなたを待ってます!!