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カルロス・ゴーン氏が再逮捕された『特別背任罪』とはどんな罪なのか?『会社法違反』の詳細と合わせて解説します!

日産自動車の前会長であるカルロス・ゴーン容疑者が、『会社法の特別背任容疑』で再逮捕されました。

news.yahoo.co.jp

 

ゴーン氏はすでに有価証券報告書にて自身の役員報酬額を過少に虚偽記載したという金融商品取引法違反で2度逮捕されていますので、この一連の流れの中で3回目の逮捕となります。

 

1回目:11月29日 2010年~2014年の有価証券報告書の虚偽記載で逮捕

 2回目:12月10日 2015年~2017年の有価証券報告書の虚偽記載で再逮捕

 3回目:12月21日 特別背任容疑で再逮捕

 

さて過去2回の逮捕は『金融商品取引法違反』に基づくものでありましたが、今回の逮捕は『会社法』に基づくものとなっております。一連の流れでの連続逮捕なので、あまり注目されていない点ではありますが、この2つは性質の異なる法律です。

 

ということで今回は、「金融商品取引法と会社法の違い」に触れつつ、今回のカルロス・ゴーン氏が犯した「特別背任罪」とは一体なんなのか、なぜ『特別』とついているのかについて見ていきたいと思います。

 

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『金融商品取引法』と『会社法』の違い

細かく見ていくときりが無くなってしまうので簡潔に「概要・対象・目的」の違いについてだけ見てみましょう。

 

『金融商品取引法』の概要・対象・目的

金融商品取引法とは、証券市場における有価証券の発行・売買その他の取引について規定した法律です。

 

この規定の対象となるのは、「証券市場に上場をしている有価証券発行会社」となるので非上場会社は対象にはなりません。

 

この法律は「投資家の保護と投資情報の提供」を目的としており、将来株主になる可能性のある(まだ権利関係を有していない)投資家も保護の対象としています。

 

投資家の多くは会社の決算書である「有価証券報告書」を読むことで、会社の経営・財務状況を判断し投資の意思決定をします。

 

今回の日産自動車の件のように、この判断の基となる資料を意図的に虚偽記載されてしまうと、現在株式を保有している投資家のみならず、報告書を読んでこれからその会社の株式を購入しようとしている未来の株主も欺くこととなり、結果として証券市場全体に不利益が出てしまう恐れがあるので、この金融商品取引法によって企業に規定を設けて投資家の保護を行っています。

 

『会社法』の概要・対象・目的

会社法とは、会社の設立・組織・運営及び管理について規定した法律です。

 

この法律の対象となるのは、株式会社・合同会社・合資会社・合名会社の4つの形態の会社であり、株式会社については上場・非上場に関わらず全てが対象となっています。

 

この法律は『 会社に対して利害関係をもつ出資者と債権債権者の利害関係の調整』を目的としています。よって金融商品取引法にして保護されていた、「これからこの会社に投資をしようとしている人」は保護の対象には含まれません。既存株主と債権者が保護対象となります。

 

よってこの2つの法律の違いを簡潔にまとめると以下のようになります。

 

金融商品取引法 ⇒ 投資家の保護を目的に、上場会社のみを対象として規定

会社法 ⇒ 株主と債権者の保護を目的に、全ての株式会社を対象として規定

  

特別背任罪とは?

今回のカルロス・ゴーン氏の特別背任罪の容疑は、私的なスワップ取引で発生した約18億5千万円の損失を負担する義務を日産側に負わせるなどして、日産自動車に損害を与えたというものでした。

 

まずは『特別背任罪』とはなんぞやという点に着目していきます。

 

 背任罪とは

『特別』という頭文字がつくということは、まず普通の背任罪があるということになります。ということでまずは『背任罪』についてみていきます。

 

背任罪は刑法247条で規定されています。

『他人のためにその事務を処理する者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で、その任務に背く行為』

 

噛み砕きますと以下のようになります。

①他人のために何か事務作業をすることを任されている人が行う

自分の利益を得ること、または相手に損害を与えることを目的としている

③与えれた任務に反していること

④相手に財産上の損害を与えていること

 

上記の4つに当てはまると背任罪となります。

 

では例えば「経理職員が帳簿をごまかし、会社のお金を不正に引き出して使った」という例で考えてみますと以下のようになります。

 

①他人のために何か事務作業をすることを任されている人が行う

会社の帳簿管理を業務として任されているので該当

 

②自分の利益を得ること、または相手に損害を与えることを目的としている

会社のお金を自分のものとして利益を得ているので該当

 

③与えれた任務に反していること

⇒ 経理職員の任務は「会社の帳簿を正しく管理すること」なので与えられた任務に反しており該当

 

④相手に財産上の損害を与えていること

会社のお金が減っており損害を与えているので該当

 

以上4件に該当するので、背任罪にあたります。なので決して経営者や政治家のようなお偉いさんしか適用されない法律というわけではありません。

 

『特別』背任罪とは何が『特別』なのか?

それではなぜ今回のようなケースでは、背任罪に『特別』とつくのかといいますと、まずは根拠となっている法律が違うところにあります。

 

背任罪:刑法247条

特別背任罪:会社法960条

 

そしてなぜ分かれているかというと、特別背任罪は「背任罪の特別法」であるからです。

 

『特別法』とは、ある法律に対してその適用対象をより特定化した法のことを言い、特別法は一般法に優先して適用されます

 

よって「背任罪という一般法」に対して、「特別背任罪という特別法」が存在しているということになります。つまりは『背任罪の特別法だから特別背任罪という罪名』になっているわけです。

 

特別背任罪は『組織の幹部など組織運営に重要な役割を果たしている者』に適用対象を特定化しております。

 

今回の日産自動車のように、会長という立場で組織経営に重要な役割を果たしていたゴーン氏が、背任行為を行ったので、通常の背任より責任が重いと考えられることから、一般法の背任罪ではなく特別法の特別背任罪が優先して適用されたわけです。

 

ちなみに量刑も異なります。

背任罪:5年以下の懲役又は50万円以下の罰金

特別背任罪:10年以下の懲役若しくは1,000万円以下の罰金

 

また特別背任罪は、会社法以外の法律にも特別法として存在しております。業種や組織形態によって適用される法律の根拠が異なりますが、いずれも、その組織の運営上の重要人物による背任行為に対しての規定となっております。

・会社法
・保険業法
・医療法
・投資法人法
・一般社団法人等法
・資産流動化法
・金融機関合併転換法

 

カルロス・ゴーン氏の行為は『特別背任罪』にあたるのか?

それではカルロス・ゴーン氏の今回の行為が特別背任行為なのかを考えてみましょう。

 

容疑『私的なスワップ取引で発生した約18億5千万円の損失を負担する義務を日産側に負わせるなどして、日産自動車に損害を与えた』

 

①他人のために何か事務作業をすることを任されている人が行う

取締役会より経営行為を任されている人なので該当

 

②自分の利益を得ること、または相手に損害を与えることを目的としている

⇒自身の損失を日産に負わせることで、ゴーン氏の利益となっているので該当

 

③与えれた任務に反していること

⇒ 経営者の任務は、正しい経営をして業績を上げて株主・社員・社会に還元することであり、その経営者としての任務からは反しているので該当

 

④相手に財産上の損害を与えていること

日産が損失を負っており、損害を与えているので該当

 

組織の幹部など組織運営に重要な役割を果たしている者が行う

会長という経営上の重要人物が行っているので該当

 

ということで、現在ある情報だけで考えると、カルロス・ゴーン氏の行為は「特別背任罪」が適用されると考えられますね。

 

まとめ

まだまだこれからも続いていくことになりそうなゴーンショックですが、いまや世界中の政治・司法・経済界から注目される一大事件となってしまいました。ただ日本の司法界には、それに怯むことなく真実を見極めたうえで適切に裁いてほしいものですね。

 

※カルロス・ゴーン氏の最初の逮捕についての記事です。よかったらご覧ください。

mitsuo716.hatenablog.com