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日産自動車の虚偽記載は【粉飾決算】ではないのか!?不正な会計処理について考えてみよう!

日産自動車カルロス・ゴーン氏が自らへの役員報酬を約50億円も少なく申告した容疑『金融商品取引法違反 有価証券報告書虚偽記載』について2回にわたって紹介してきました。

 

ゴーン氏が逮捕された当日の夜、日産自動車の西川広人社長兼最高経営責任者(CEO)が記者会見を開きました。その会見は記者の質問に対して過不足なく適切かつ誠実な回答をしており、企業のトップの謝罪会見としてはこれ以上ないものであったのではないかと思います。

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さてその会見の中で以下のような質疑応答がありました。

 

記者『有価証券報告書に虚偽記載があったということは、粉飾決算ではないか?』

 

西川社長『これは粉飾というより、本来記載すべきことが記載されていなかったということだ。その部分が適正ではなかったということで当然のことながら、瑕疵(かし)を認めなければいけない』

 

確かに有価証券報告書に偽りがあったのなら「粉飾決算」なのではないか?と思うのは自然な流れかと思います。ただ西川社長は今回の件は粉飾決算ではないと釈明しております。

 

ということで今回は『粉飾決算』とは何かを説明しつつ、日産自動車の今回の件が粉飾決算に該当するのかを考えていきたいと思います。

 

  

『粉飾決算』とは?

『粉飾決算』という言葉ですが、この単語を分解すると、「粉飾」と「決算」に分けられます。辞書では以下のような意味とされています。

 

粉飾:飾りつくろうこと。うわべをとりつくろって立派に見せかけること

決算:企業会計で、一会計期間の経営成績と期末の財政状態とを明らかにするために行う手続き

 

つまり合わせると『企業の経営成績・財政状態を、うわべをとりつくろって立派に見せかける』行為のことだと分かります。ただこれは辞書上の解釈なので、実際に法律・会計的にはどのように捉えられているのか見ていきたいと思います。

粉飾決算の定義

 そもそもの話ですが、日本において粉飾決算』という名の犯罪は無く、会計上の明確な定義も存在しておりません

 

つまり法律的・会計的に粉飾決算とは『〇〇という定義のない俗語』にすぎない状態であるということです。

 

人によって解釈はまちまちなのですが、おおむね以下のような意味で理解されているようです。

『決算書の記載内容を不正な会計処理によって故意に操作し、企業の財務状況や経営状態を、実際よりも会社にとって好都合になるように見せかけること』

 

 ここで大事なのは赤文字の部分です。

・不正な会計処理

・故意

・実際よりも会社にとって好都合になるように見せかける

 

この3つ目の『会社にとって好都合』が重要ポイントなので覚えておいてください。

 

 粉飾決算の目的

 ではなぜ企業は粉飾決算をするのかというと大きく分けて2つあります。

 

①売上を大きく計上して、黒字であるように見せかける

②費用を大きく計上して、利益を少なくし税金の支払いを減らす

 

①の場合は架空の売上を計上したり、損失を関連企業に付け替えるなどをして、売上を実際よりも大きくすることにより、損益計算書上の利益を黒字にしております。赤字というの企業にとって好ましい状況ではなく、株価の下落や、銀行からの融資が渋られる、純資産の減少など様々な影響が出るので、それを回避するために決算数値を黒字に見せかけようとする場合があります。

 

②の場合は逆に利益を少なく見せることによって、法人税の支払い額を減らそうとする目的です。法人税率は企業の形態によって異なりますが、利益(所得)に対して一定の税率をかけることにより算出されますので、利益が少なくなれば納める税金も少なくて済みます

 

両社とも共通しているのは、『見せかけ(粉飾)をすることが、会社にとって好都合になる』という点ですね。

 

 粉飾決算をした場合は何の罪に問われるのか?

先ほど述べたように『粉飾決算という犯罪はない』ので、他の罪状で起訴・立件されることになります。

 

今回の日産自動車のような上場企業の場合は、『金融商品取引法 有価証券報告書虚偽記載罪』が適用されます。

 

 また非上場会社の場合は、金融商品取引法が適用されないので『不実文書行使罪』や『詐欺罪』が適用されることになります。

 

日産自動車の虚偽記載は『粉飾決算』に該当するのか?

それでは今回の日産自動車の虚偽記載が粉飾決算に該当するのかを考えていきます。粉飾決算という概念に明確な定義はないので、先ほどあげた一般的な解釈に基づいて判断していきます。

 

・不正な会計処理

該当:報酬額を実際受け取っていた額よりも少なく記載しているので該当しています。

 

・故意

おそらく該当:まだ故意かどうかは明確ではないですが、まあこれだけの虚偽が自然と発生するはずもないので、ほぼ間違いなく故意であると考えられます。

 

・実際よりも会社にとって好都合になるように見せかける

該当しない?:ゴーン氏の報酬が少なくなることで、会社にとって良いことがあるのかというと、あまり無いかと思います。販管費が少なることにより利益は増しますが、平成27年3月期の日産自動車の当期純利益は『4,575億円』です。ゴーン氏の報酬を数億円少なく記載したところで、決算数値に対してさほどインパクトは無いと思われます。

 

このような解釈から、故意に不正会計処理はしていますが、それが必ずしも会社にとって好都合な結果をもたらしているわけではないことから、『一般的な解釈でいう粉飾決算』には該当しないのではないかいと考えられます。そういうわけでメディアも「粉飾決算」という言葉を使ってないのではないかと推測しています。

 

西川社長の言葉に戻りますと、『本来記載すべきことが記載されていなかったということだ。(ただ会社にとって都合のいいように見せかけたわけではないので粉飾決算にはあたらないですよね)』という回答になるわけです。

 

ただ正直ここらへんも曖昧ではあります。東芝のように『不適切会計』と表現するのが妥当なのか、そこに絶対的な解答は現時点では無いと考えられます。

 

まとめ

内部通報や、司法取引によって企業の不正が次々と明るみになってきており、古き悪しき慣習が打ち破られようとしている転換期だと思います。この日産自動車の件に続いて、他の企業での不正が一気に公のもとに晒される連鎖が起こり、日本の経済界が少しでもクリーンになっていくといいですね。